UVパテ(光硬化パテ)は、光(可視光・紫外線)を照射することで硬化するパテです。
従来の2液性パテと比べて、硬化時間が短く、作業効率が良いというメリットがあります。また、硬化後の研磨がしやすいという特徴もあり、様々な用途で使用されています。
この記事では、UVパテの基本的な使い方から、綺麗に仕上げるためのコツまで詳しく解説していきます。UVパテを使ったことがない方も、ぜひ参考にしてみてください。
1.UVパテを使用する際には、必要な道具、あると便利な道具
- パテ: UVパテ(光硬化パテ)
用途に合わせて、選びましょう。
着色されているものは、厚く硬化させることができません。
例
● Glanz neo :
1度に硬化最大硬化厚み 5mm以下
● Glanz neo に0.5%程度の着色顔料を含有させた場合:
Glanz neo に1%程度のベースコートを含有させた場合:
1度に硬化最大硬化厚み 1mm以下(色により硬化厚みが変わります。)
- UVライト(UV照射機、LED照射機): UXH-10GND
UVパテを硬化させるために必要なライトです。
太陽光でも硬化しますが光の強さが安定しないため、UVライトを使用することを強くお勧めします。 - ヘラ(ディンプルヘラ 、ゴムベラ、パテスケール等):
パテを混ぜたり、塗布したりする際に使用します。 - マスキングテープ:
パテを塗布する範囲を限定したい場合に使用します。 - サンドペーパー:
硬化後に表面を研磨する際に使用します。 - ガイドコート
パテの塗布範囲とパテ研磨の高低差を可視化することができます。 - 各種サンダー
シングルアクションサンダー、ダブルアクションサンダー - 保護メガネ:
UVライトの光から目を保護するために着用します。
2.UVパテの使い方
UVパテの基本的な使い方を手順に沿って解説します。
① 足付け作業
鉄板等の素地の上は、#120(推奨)研磨紙を用いて、塗膜の上は、#180や#220,240研磨紙を用いて、しっかり足付けを行います。
② 脱脂
シリコンオフやワックスオフなどを使用し、油分、汚れの除去します。
③ プライマー塗布
必要に応じて、亜鉛メッキ鋼板やPP等の素材に塗布します。
④ パテのエア抜き
製造時または攪拌時に混入した空気を、パテ定盤の上でパテをしごきながら、空気を抜きます。
⑤ パテの塗付・しごき
初期のしごきは、足付した溝に空気が入り込まないように、まんべんなく強く行います。パテの最大硬化膜厚以下に収まるよう塗り重ねます。
⑥ 紫外線または可視光照射
硬化不良・密着不足の原因になるため、照射距離・照射時間をしっかり守ります。
⑦ リコート(パテの再塗布)
●ウェットオンウェット工法
パテの深部から表層部未満までを完全硬化させつつ、表層部にあえてタック(べたべたの状態)を残すことでパテの重ね付けを可能とした工法
a. 硬化時間が短く、パテを薄く塗布し数回に分けてパテを付ける。(スケール等を同時に使用する)
b. パテ付け作業の時点で面を作り出すため、研ぎ時間が従来の1/3以下で完了できる。集中力を切らすことなく、成形が完了できる
【注意】本工法は、市販されているすべての光硬化パテで使用できるわけではありません。
●ビルドサンディング工法
a. パテ塗り1回で基準面よりもプラス方向に盛る
b. 硬化させ、面だし・成形をおこなう
c. 研ぎ粉が増え、工場や服・車両が汚れやすい
本工法は、研ぎ量が増え、面だし・成形(研ぎ時間)にとても時間が掛かる
ほとんどの作業では、パテ盛りが一発では決まらないため、結局、何度かパテを盛り・乾燥・研ぎを繰り返すため時間がかかる
⑧ 冷却
照射時・反応時の熱がパテに残っている場合は、エアーブローして常温まで冷却してから研磨を行う
⑨ 研磨・整形
研磨・整形後、サーフェーサー等を吹き付ける
実作業の一例
① 下地処理: 作業時間:約15分
鈑金後、パテを塗布する範囲を確認します。(損傷面積 縦15cm×横50cm)
目視以外に、手の感触による凹凸を確認します。
その際、素手で触らず、薄く滑りやすい手袋を使い確認したほうが、凹凸が分かりやすいでしょう。 素手は、手の油が邪魔したり、鉄板を錆びさせる原因になります。
サンドペーパーで研ぎ落とす場所に、マーキングします。
これは、無駄な剥離を防ぐためです。 P80のペーパーを付けたシングルアクションサンダーで、マーキングに沿って研いでいきます。この時、摩擦熱による歪みがでないように低回転で研磨します。ここまでの作業は、シングルアクションサンダーで行います。
次に、P120のペーパーを付けたダブルアクションサンダーで時計回りに塗膜をはく離していくのを意識しながらエッジを均等に研磨していきます。
鉄板の上には、プライマー層、ベースコート層、クリアー層などがあり、それどれ5~10mm程度残るイメージで、鉄板からクリアー層まで緩やかなエッジを作っていきます。
このエッジを滑らかにすることにより、パテを研ぎ終わったあとの旧塗膜とパテのつながりがきれいにできます。
また、塗装後や納車後にパテキワが出ることも抑制できます。
パテ塗布前の下地作業が完了です。
② 脱脂
汚れや油分を取り除きます。
ウエスを両手に持ち、同一方向からシリコンオフと、から拭きを同時に行い、ゴミがかまないようにする。終了後、必ずエアーで溶剤を飛ばし、足付け終了しましょう。
③ パテの塗布 ~ UV照射 ~ 研磨
ヘラなどを使って、パテをキズや凹みに塗布します。
パテを盛りすぎると、硬化後に研磨するのに時間がかかるため、薄く塗布するのがポイントです。
写真は、パテを塗布る際の、盛り方です。
1回目のパテ塗布
鉄板の素地のみ(エッジ内)にUVパテを塗布し、右から左へしごきづけするように伸ばしていきます。
右から左の流れでパテ付けをすると、左にパテが残りやすくなります。返しベラは技術的に難しいが、身体を入れ替えて行うことで均等に塗布できます。
※ヒント:パテがヘラ中央部分に集まり回転するように力をコントロールすることでヘラ枕の発生を抑えることができます。
UV照射: 揺らしながら1分程度照射
ハンディLED照射機「UXH-10GND」のボタン1(青い光)を使用し、パテを硬化させます。照射時間は、UVパテの種類やUVライトの出力によって異なります。
注意:
UXH-10GND
UXH-10(GND) 使用の場合
【重要】※しごきつけ程度の薄膜や表層部は、スイッチⅡでのみ硬化します。
※深部から表層部未満までを硬化させるときは、スイッチⅠを使用します。
※照射機とパテとの距離は直近(1~2cm以下)が好ましい
2回目のパテ塗布
UV照射: 揺らしながら1分程度照射
ハンディLED照射機「UXH-10GND」のボタン2(白い光)を使用し、パテを硬化させます。照射時間は、UVパテの種類やUVライトの出力によって異なります。
研磨:
パテが硬化したら、サンドペーパーで表面を研磨し、滑らかに仕上げます。
番手の低いサンドペーパーから始めて、徐々に番手を上げていくと、綺麗に仕上がります。
ガイドコートを塗布し、パテの塗布範囲とパテ研磨の高低差を可視化できます。
P220のペーパーで粗研ぎを行う。P240だと削れず、P180だと削れすぎるので注意が必要です。
なぞる程度の弱い力で研磨します。ヘラを横にしてパテを塗布したのでヘラ枕を落とすためにファイルを横に持ち研磨し、高低差をなくします。
粗研ぎでヘラ枕がなくなったら、斜めの動きがしやすいファイルにP220のファイルをつけて研磨します。横削りに意識がいくと、パネルの丸みがなくなる可能性があるので斜め研磨で丸みを作ります。
研磨がパテ範囲外に出ないように反対側の手を添え、指二本程度の力で抑えて研磨します。
3回目のパテ塗布
面だしは完了したが、完成度を高めるために、可視化しやすく薄く延びるタイプのUVパテ 「Glanz neo BL」を塗布します。
ゴムヘラを寝かして中央部分を押してU字になるように持ち、先ほど同様ヘラの中央部にパテが集まるように塗布していく。
UV照射: 揺らしながら1分程度照射
ハンディLED照射機「UXH-10GND」のボタン2(白い光)を使用し、パテを硬化させます。照射時間は、UVパテの種類やUVライトの出力によって異なります。
研磨:
UV照射器でパテを硬化後、再度ガイドコートを塗り、面だしを行う。旧塗膜への接触は特に注意が必要です。
面出し時も身体全体を使ってあらゆる角度から研磨状態を確認しながら作業します。
面出し終了後、足付け部分をP400のペーパーとソフトパット10mmを付けたダブルアクションで研磨します。
足付け部分を念入りに研磨後、全体を慣らし、作業終了です。
最終確認:
シリコンオフで洗浄後、カラーチェッカーをパネル全体に塗布し研磨面のゆがみを確認します。
多方向からスカシを確認すると同時に、研ぎの残しなども最終チェックします。
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- 大幅なコスト削減:従来の2液型パテのようなヒーターによる加熱が不要なため、光熱費を削減できます。また、乾燥待ち時間も大幅に短縮できるので、作業効率が向上し、人件費の削減にもつながります。
- ヒケの発生が少ない:光硬化パテは、光に反応する物質がなくなることで硬化収縮が終わるため、2液型パテのように作業後の「ヒケ」が発生することがほとんどありません。
- 優れた作業性:2液型パテと遜色ない作業性を実現しています。
- 無溶剤:溶剤を一切使用していないため、下地を痛めません。
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