「2液型パテを薄く薄く塗ったら剥がれてしまった…キワが決まらない」なぜ???

お客様より、このようなご質問を受けました。

実作業で2液型パテを使ったことがある方なら、一度は経験したことがあるかもしれません。実は、2液型パテは薄く塗布する、いわゆる「薄膜乾燥(硬化)」の状態では、剥がれやすくなることがあります。

今回は、2液型パテの薄膜乾燥(硬化)に潜む剥がれの原因を徹底解明し、その対策方法まで詳しく解説していきます。

2液型パテの硬化のメカニズム

2液型パテの硬化のメカニズムとしては、主剤と硬化剤が混合されることで化学反応が開始され、その過程で熱が発生します。この熱がパテ全体の温度を上昇させ、硬化を促進する役割を担うのです。

具体的には、以下の様なメカニズムが考えられます。

  • 反応熱の拡散・吸収: 金属などの熱伝導率の高い基材にパテを塗布すると、発生した熱が基材に奪われ、パテの温度が十分に上がらないことがあります。薄膜は体積に対する表面積の比率が大きいため、発生した反応熱が周囲に逃げやすくなります。
  • 低温環境の影響: 周囲の気温が低い場合、化学反応の速度が低下し、反応熱の発生量が減少します。結果として、硬化が遅延したり、硬化不良が発生したりする可能性があります。
  • 硬化剤の揮発: 気温が高い場合、薄膜では、硬化剤が揮発しやすくなるため、主剤と十分に反応できないことがあります。
  • 混合不良: 主剤と硬化剤を均一に混合していないため、適切な熱を発生できないことがあります。

対策方法は・・・

もし、熱量が足りないことが原因で硬化不良が起きているとすれば、以下の様な対策が考えられます。

  • 基材の温度・周囲温度を上げる: パテを塗布する個所・基材(塗布するもの)の温度を上げることで、反応熱の拡散を抑え、硬化を促進することができます。
  • ヒーターを使用する:パネルヒーター等を使用し温度を上げ、乾燥時間を既定の時間よりも長めにする。
  • 丁寧な混合: 主剤と硬化剤を混ぜ合わせる際は、メーカーの指示に従い、規定の比率を守りましょう。また、ヘラなどを使い、空気が入らないように丁寧に混ぜ合わせることが重要です。

ただし、熱量だけが硬化不良の原因とは限りません。硬化剤の混合不良硬化剤の使用期限切れ下地処理の甘さなども密着不良や硬化不良の原因となる可能性があります。

なお、パテの使用方法や注意事項は、メーカーによって異なります。必ず製品に付属の説明書をよく読み、指示に従って使用しましょう。

どんな製品でも、トラブルはつきものです。しかし、適切な知識と対策を講じることで、これらのトラブルを回避することができます。