UVパテ、ジェルネイルやUV硬化クラフト用接着剤、UV接着剤などのUV硬化製品をお使いのお客様なら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

・光をいくら当てても表面が硬化せずベタベタしてしまう。
・ペーパーでパテ等を研ぐ時に、ペーパーに絡んでしまう。

実は… 空気中の「酸素」が悪さをしています!

原因は空気中に含まれる酸素が原因とされることから、「酸素阻害」「硬化阻害」と呼ばれています。塗布されたパテやサフ等が空気と触れている表面から、酸素が塗膜内部に浸透拡散して、硬化反応が止まってしまうというものです。(※詳細に関しては、割愛させていただきます。)

なぜ酸素が悪さをするか?

UV硬化は、紫外線が当たると液体・粘土状の中で小さな「硬化役」がいっぱい生まれて、それがくっつき合って固まる仕組みです。ところが、酸素はこの「硬化役」と先に結びついて、硬化反応の邪魔をしてしまいます。そうすると、「硬化役」同士がくっつき合う数が減って、固まりにくくなってしまいます。

酸素阻害が起こるとどうなるの?

硬化しにくくなることで、
 ・表面がベタベタする
 ・傷つきやすくなる
 ・とくに薄膜は、剥がれやすくなる
といった困ったことが起きてしまいます。

「酸素阻害」を防ぐには?

酸素阻害を防ぐ方法も、ちゃんとあります。

使用者側の対策

  • 窒素ガス等の不活性ガスを使用する(参考値:酸素濃度を約20%から5%以下にする)
  • ペットフィルムなどを表層部にかぶせ、酸素を遮断する
  • 光(照射強度)が強い照射機を使う。強い紫外線を使えば、「硬化役」をたくさん作れるので、酸素に邪魔されても大丈夫!
  • 表層部のみであれば、エネルギーが強い波長(例えばUV-BやUV-C)を使用する

    などの方法があります。

開発側の対策

私たち開発メーカーは酸素阻害を抑制したり、表面を硬化させる技術を持ち合わせています。
しかし、私たちが酸素阻害対策や、表層部の硬化ができるように設計すると、パテのような厚く盛って使いたい場合、最初に表層部が硬化をはじめてしまうと、その表層部の一膜が光の透過を妨げる方向に働くため、光が深部まで届きにくくなります。

仮に、厚くパテを盛ってしまった場合、深部の硬化不良が起きやすいという観点から、弊社ではわざと酸素阻害を残す設計にしています。
ウェットオンウェット(パテオンパテ)は、この酸素阻害を使用し、足付けなしでパテを再度、盛ることができます。
なお、薄膜でしか使用しないプライマーや、サーフェーサーは、酸素阻害を抑制するように設計されています。
また、UVパテ「Glanz neo」は、フェザーエッジのような薄膜、表層部での硬化しにくいため、照射機の波長を変えることにより「酸素阻害」への対応しています。

実験結果:UV硬化における酸素阻害の影響

UV硬化における酸素阻害の影響を調べるため、弊社では以下の実験を行いました。

① 同一波長、同一照度(強度)でのテスト

酸素阻害の有無による硬化深さの変化を検証しました。

  • 酸素阻害あり:最大10[mm]まで硬化
  • 酸素阻害なし:最大3[mm]まで硬化

※酸素阻害なしの条件では、表層部を完全に硬化させるよう設計しています。

② 同一波長、照度(強度)を変えた場合

光の強度を100[mW/cm²]から4000[mW/cm²]で変化させ、酸素阻害の度合いを比較しました。

結果:強度が強い方が、酸素阻害の影響が少ないことが分かりました。

③ 同一照度(強度)、異なる波長を使用した場合

315[nm]~420[nm]の波長を変化させ、酸素阻害の度合いを比較しました。

結果:短い波長のほうが酸素阻害の影響が少ないことが分かりました。

注記

  • 上記はあくまでも参考例であり、すべての製品で同様の結果が得られるとは限りません。
  • 実験条件の詳細(樹脂の種類、照射時間など)は省略しています。

考察

これらの実験結果から、酸素阻害はUV硬化に大きな影響を与えることが分かります。酸素阻害を抑制するためには、

  • UV照射強度を上げる
  • 短い波長のUV光源を使用する

などの対策が有効と考えられます

酸素阻害のデメリットをメリットに変える

通常パテを硬化させてしまった後に、再度パテを塗布するときは、ペーパー等により足付けを行わないと、パテとパテの間で適正な密着が得られませんが、酸素阻害を使用することにより、足付けなしで再度パテを塗布でき、適度な密着が得られ一体化しやすい傾向にあります。

作業例:

① パテを塗布する
② ハンディLED照射機「UXH-10GND」ボタン1を照射し、表層部以下のパテの深部を硬化させる
③ 硬化させたパテの上に、再度パテを盛る。1回目のパテの表層部に、2回目のパテを盛ることにより、1回目のパテの表層部の酸素がなくなる
④ 再度、「UXH-10GND」ボタン1を照射し、表層部以下のパテを硬化させる
⑤ ①~④を、希望の厚みになるまで繰り返す
⑥ 最後に、「UXH-10GND」ボタン2を照射し、表層部や薄膜部分を硬化させる

おすすめの光硬化パテ「Glanz neo」

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