パテとは?

パテは、一般的にはペースト状やクリーム状、粘土状のものが多く、様々な形に成形できます。金属や木材・樹脂などの凹凸を取り除いたり、面の修正や補修、隙間や穴や割れを埋めたり、造形にも使われます。

【用途別】パテの種類

パテは、成分や用途によって様々な種類があります。 二液型パテと呼ばれる主剤と硬化剤を混ぜて使用する代表的なものを以下にまとめました。

① 自動車用パテ

自動車のボディのキズやへこみを補修するための材料です。一般的に、主剤と硬化剤を混合して使用する2液型パテが主流です。

パテの種類は、補修する箇所の大きさや深さ、材質、硬化時間などに応じて選びましょう。

★自動車用パテの材質

多くの製品は、ポリエステル樹脂とタルクや中空バルーンなどのフィラー材料から作られています。速乾性があり、非常に耐久性があります。また、比較的安価であるため多く流通しています。

それ以外に、エポキシ樹脂とタルクなどのフィラー材料から作られている2液型パテもあります。ポリエステル系よりも高価ですが、非常に強力で、さまざまな表面への接着性に優れているため、高応力領域で使用されることが多いようです。

★自動車用パテの種類

自動車の補修は、主に以下のような種類のパテを使い分けて作業を行います。

  • 厚付けパテ: 大きな凹みなどを埋める際に使用されます。(一度に硬化できるパテの厚み:10mm以内)
  • 中間パテ: 厚付けパテと仕上げパテの中間的な性質を持ち、面出しに用いられます。(一度に硬化できるパテの厚み:5mm以内)
  • 仕上げパテ(ポリパテ): 最終的な仕上げに用いられ、非常に細かい研磨が可能です。(一度に硬化できるパテの厚み:3mm以内)
  • バンパーパテ: プラスチック製のバンパーの補修に特化したパテで、柔軟性があります。(一度に硬化できるパテの厚み:1~3mm以内)
  • ファイバーパテ: パテの中にガラス繊維やカーボン繊維が含まれており、強度が必要な場所や、ひび割れの発生が防止されます。(一度に硬化できるパテの厚み:10mm以内)

② 建築用パテ

壁や天井のひび割れ補修、下地処理などに使用されます。 また、リペア補修用として、アルミサッシの補修、人工大理石の補修、床のヘコミ補修などでも多く使われています。

建築用のパテも自動車用と同様、補修する場所の材質や環境、求められる強度などに応じて適切な製品を選びましょう。

★建築用パテの種類

  • 石膏系パテ: 水で練って使用し、乾燥すると硬化します。石膏ボードの穴埋めや、ジョイント処理や、ビス穴の充填などの下地用として使われています。
  • アクリル系パテ: 水性で、作業性が良く、室内での使用に適しています。中には、耐水性が強いものもあり、家の外部で使用することができるものもあります。
  • エポキシ系パテ: エポキシパテとは、エポキシ樹脂を主成分としたパテで、密着性もよく、強度が高く、耐薬品性にも優れています。屋外や湿気の多い場所での使用にされることが多いようです。

③ その他のパテ

自動車用、建築用の他にも、以下のような用途でもパテが使用されます。それぞれ特徴が異なるため、用途に合わせて適切な種類のパテを使い分けましょう。

  • 木工用パテ: 木材の補修に特化したパテです。木材特有の性質に合わせ、木肌になじみやすく、加工しやすいように作られています。木材の穴埋めや表面の平滑化に使用されます。
  • プラスチック用パテ: プラスチック製品の補修に特化したパテです。プラスチックは、種類によって性質が大きく異なるため、それに適したパテを選ぶ必要があります。プラスチック用パテは、プラスチックの特性に合わせた柔軟性や接着性などを備えています。
  • 模型用パテ: プラモデルやフィギュアなどの模型製作において、表面の凹凸を埋めたり、パーツを接着したり、形状を修正したりするために使われるパテです。
  • 耐火パテ: 熱に強く、燃えにくい穴埋めパテです。不燃材料の使用しかできない場所・箇所に最適です。
  • 耐熱パテ: その名の通り、高温に耐えることができるパテのことです。粉体塗装の下地処理で使用されることが多く、一般のパテと比べて、高温下でも安定した性能を維持できます。一般のパテは、高温になると軟化したり、分解したりしてしまいます。
  • 造形用パテ: 立体的な造形を行うためのパテです。粘土のように自由に形を作り、硬化させることで、模型やフィギュア、ジオラマ、アクセサリーなど、様々な作品制作に活用できます。

パテの種類を選ぶ際のポイント

パテを選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

① 用途

パテを選ぶ際、まず考慮すべきは「何のためにパテを使うのか?」という用途です。 目的がはっきりすることで、適切な種類・材質・強度のパテを選ぶことができます。

② 対象物の素材

パテは、使用する素材によって適切な種類が異なります。 素材とパテの相性が悪いと、密着不良を起こし、剥がれやひび割れの原因になることもあります。 代表的な素材とパテの種類の関係は以下の通りです。

  • 鉄、アルミ、ステンレス: エポキシ系、ポリエステル系
  • 亜鉛: エポキシ系
  • ABS、PP: ポリプロピレン系、エポキシ系、ポリエステル系
  • 木工: 木工用パテ、エポキシ系
  • 塩ビ: 塩ビ用パテ、エポキシ系

さらに、上塗りや焼き付けなどの後処理によっても、適したパテの種類が変わってきます。例えば、焼き付け塗装を行う場合は、耐熱性に優れたパテを選ぶ必要があります。

③ 硬化時間

パテの硬化時間は、作業効率に大きくかかわってきます。どのくらいの時間で硬化するかを検討しましょう。

自動車用パテ(2液型パテ)を例に挙げると、硬化時間は以下の要素によって大きく左右されます。

  • パテの種類: 厚付けパテ、中間パテ、仕上げパテなど、種類によって硬化時間が異なります。一般的に、厚付けパテほど硬化時間が長くなる傾向にあります。
  • 硬化剤の配合: 硬化剤の量が多いほど、硬化時間が速くなります。ただし、メーカーの推奨する配合比を守ることが重要です。
  • 気温: 気温が高いほど、硬化時間が速くなります。逆に、気温が低いと硬化が遅くなります。
  • 湿度: 「主剤と硬化剤の種類」によって異なりますが、湿度に影響されるものもありますで注意が必要です。作業前に、メーカーの製品情報や技術資料を確認し、適切な湿度管理を行うことが重要です。
  • パテの厚み: 厚く塗布するほど、硬化に時間がかかります。

一般的に、2液型パテは、常温で5分~30分程度で硬化が始まり、研磨作業ができるようになります。ただし、完全に硬化するまでには、数時間から1日程度かかる場合があります。また、硬化時間はあくまでも目安です。作業前にメーカーの製品情報を確認し、適切な硬化時間を知っておくことが重要です。

④ 硬化方法(化学反応)

パテの硬化方法は、実に多岐にわたりますが、一般的に多く使用されているのは、2液混合タイプです。

  • 2液混合タイプ: 主剤と硬化剤を混合することで化学反応を起こし、硬化します。
  • 加熱硬化タイプ: 加熱することで樹脂中の硬化剤が活性化し、硬化します。
  • 光硬化タイプ: 紫外線や特定の波長の光を照射することで、短時間で硬化します。

その他、接着剤等では、以下のような硬化方法も存在します。

  • 湿気硬化タイプ: 空気中の水分と反応して硬化します。
  • 嫌気タイプ: 空気を遮断することで硬化が始まります。
  • 溶剤乾燥タイプ: 水分もしくは溶剤が蒸発することで硬化します。

一般的に多く使われる2液混合タイプは、硬化時間が調整しやすいというメリットがある一方、配合を間違えると硬化不良を起こす可能性があります。また、光硬化タイプは短時間で硬化するというメリットがある一方、光が届かない部分には使用できないというデメリットがあります。

このように、パテの種類や用途によって様々な硬化方式が採用されているため、各方式のメリットとデメリットを照らし合わせて適切なパテを選ぶことが重要です。

※参考

2液型パテ(2液混合タイプ)について 混合後、パテは発熱し、徐々に硬化が始まります。 パテ塗布後、パネルヒーター等を使用することにより5分~30分程度で、パテ研ぎ作業ができます。 ここで問題になってくるのは、塗布作業時に「徐々に硬化」するということですが、ではどれくらいの時間内で、パテの塗布や整形を終わらせなければいけないのか?ということです。 この時間を、「可使時間」または「ポットライフ」と言われていて、各メーカーから時間が表記されています。 可使時間とは、混合後、パテが粘土状・ペースト状の状態を保ち、塗布や整形ができる時間のことを指します。この時間は、パテの種類、温度、湿度、硬化剤の混合比などによって異なります。各メーカーが製品ごとに可使時間を明記しており、この時間内に作業を完了させる必要があります。 可使時間を過ぎると、パテが硬化し始め、作業性が悪化したり、仕上がりが悪くなる可能性があります。そのため、パテを混合する前に、必ず可使時間を確認し、作業計画を立てておくことが大切です。

⑤ 強度

パテに必要な強度は、使用用途や環境によって大きく異なります。

  • 強度が求められる場面
    • 自動車のボディ: 振動や衝撃に耐える強度が必要です。
    • 建築物の外壁: 風雨や紫外線にさらされるため、耐候性と強度が求められます。
    • 機械部品の補修: 高温や高圧に耐える強度が必要です。
  • 強度に影響する要素
    • パテの種類: エポキシパテ、ポリパテ、光硬化パテなど、種類によって強度が異なります。
    • 硬化剤の配合: 硬化剤の量によって強度が変わります。
    • 硬化時間: 十分な硬化時間で強度を発揮します。
    • 下地処理: 下地処理が不十分だと、パテが剥がれやすく強度が低下します。
  • 強度不足による問題
    • ひび割れ: 振動や衝撃、温度変化によってパテがひび割れることがあります。
    • 剥がれ: 下地との密着性が低いと、パテが剥がれることがあります。
    • 変形: 荷重がかかると、パテが変形することがあります。

⑥ 作業性

スムーズな施工を実現する上で重要な要素です。 具体的には、

  • 練りやすさ: パテが硬すぎると練り込むのに力が要り、均一に混ぜにくくなります。逆に柔らかすぎると、垂れやすく作業性が悪くなります。
  • 伸びの良さ: パテが滑らかに伸びることで、薄く均一に塗布することができ、美しい仕上がりを実現します。
  • ヘラへの付着: ヘラにパテがべったりと付着すると、作業効率が低下します。適度な付着性で、ヘラ離れが良いものが望ましいです。
  • 硬化時間: 作業時間と硬化時間のバランスが重要です。硬化が遅すぎると作業効率が悪くなり、早すぎると修正が難しくなります。

これらの要素がバランス良く備わっていることで、作業者はストレスなく効率的に作業を進めることができ、高品質な仕上がりを実現できます。 特に、光硬化パテは硬化時間を自由にコントロールできるため、作業性が高いと言えるでしょう。

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  • ヒケの発生が少ない:光硬化パテは、光に反応する物質がなくなることで硬化収縮が終わるため、2液型パテのように作業後の「ヒケ」が発生することがほとんどありません。
  • 優れた作業性:2液型パテと遜色ない作業性を実現しています。
  • 無溶剤:溶剤を一切使用していないため、下地を痛めません。

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