UV-LED照射機は、UV硬化樹脂や光硬化樹脂を硬化させるために使用される重要なツールです。しかし、市場には様々な種類の照射機があり、それぞれに特徴があります。最適な照射機を選ぶためには、いくつかの重要な要素を理解する必要があります。この記事では、UV-LED照射機を選ぶ際に考慮すべき点について詳しく解説します。

照射方式による分類

UV-LED照射機は、照射方式によって大きく3つのタイプに分類されます。
どのタイプを選ぶかは、硬化させる対象物の形状やサイズ、硬化速度によって異なります。

  • スポットタイプ: 一点に集中して光を照射するタイプ。ピンポイントで硬化させたい場合に有効です。
  • ラインタイプ: ライン状に光を照射するタイプ。広い範囲を均一に硬化させたい場合に適しています。
  • エリアタイプ: 面全体に光を照射するタイプ。 largeな対象物を硬化させる際に使用されます。

光の強度と均一性

UV-LED照射機を選ぶ上で、光の強度均一性(均斉度)は非常に重要な要素です。
光の強度は、硬化速度や物性に影響します。
また、均一な光で照射することで、樹脂をムラなく硬化させることができます。

LEDの配置間隔は、光の均一性に大きく影響します。LEDを密集させると、近距離では強い光を照射できますが、照射範囲は狭くなります。逆に、LEDの間隔を広げると、照射範囲は広くなりますが、光の強度(照度)は低下します。

下の動画は、LEDを光の強度と照射距離の関係を示したものです。動画左は、LEDを密集させた場合の光の強度の変化、右は、LEDの搭載間隔を広げた場合の強度の変化を表しています。
なお、同一性能のLEDを同じ数だけ使用し、同じ電圧、同じ電流を使用した場合の動画です。

動画では分かりにくいという場合は下図を参考にしていただければ幸いです。

下図は、照射面(パテを塗った面)の光の強さを表した図です。
この図は、LEDの配置間隔を3パターンでシミュレーションし、照射距離による光の強度の変化をそれぞれ表したものです。

LEDの配置

パテと照射機の距離:3cm

パテと照射機の距離:5cm

パテと照射機の距離:10cm

パテと照射機の距離:20cm

パテと照射機の距離:30cm

パテと照射機の距離:50cm

上図から、強い光が必要な場合は、LEDを密集させる方が効果的なことが分かります。 また、LEDの間隔が広くなると、均一に光が当たる照射距離がどんどん遠くなり、光が減衰していくことが分かります。( ※注意:照射機の価格は、LEDの数やパワー(出力)に比例する傾向があり、高価になる場合があります。)

光で硬化する樹脂(紫外線硬化性樹脂、可視光硬化樹脂)は、「波長」に加えて、「光のエネルギー量」も重要です。硬化条件は、「光のエネルギー量」によって決まります。
「 光の強さ[mW/cm2] 」×「 照射時間[s] 」 = 「 積算光量 [mJ](光のエネルギー量 」
上記の式と上図から、光の強度が硬化速度に大きく影響することが分かります。例えば、赤い部分の光の強度は3,000[mW/cm2]以上ですが、濃い緑の部分は100[mW/cm2]程度です。これは、赤い部分の硬化速度が濃い緑の部分30倍以上の速度で硬化することを意味します。

下図のグラフは、縦軸が光の強さ(相対)、横軸が照射距離を表しています。式から分かるように、光の強さが強ければ、早く硬化することが分かります。
また、光の強さが弱い場合、照射時間を長くすることにより、希望の積算光量(エネルギー)が得られることが分かります。
グラフからも分かるように、照射距離が遠いほど、光の強さが弱くなります。一般的に、光の強さは光源からの距離の2乗に反比例すると言われています。

例:照射距離5cmのところで1秒で硬化するUVパテがあるとします。
この場合、硬化に必要な積算光量は、500[mJ/cm2](光の強さ100 × 照射時間5)になります。
次に照射距離20cmのところから、このUVパテを硬化させようとすると
「積算光量」/「 光の強さ」=「照射時間」 より
 500/10=50[秒]の照射時間が必要になります。
実際に実験を行うと、ほぼこの値に近い結果が得られます。
よって、早く硬化させたい場合は、光が強いLED照射機を選択します。

価格を抑えたい、かつ大きな面積をカバーしたい場合: LEDの指向角度が広いものを選び、LEDの配置間隔を広げて使用数を減らすことで、コストを抑えられます。

早く硬化させたい場合: 光の強度を高めるために、LEDを密集させた設計の照射機が必要となりますが、価格は高くなります。

波長

UV硬化樹脂や光硬化樹脂は、特定の波長の光に反応して硬化します。一般的に250nm~480nmの波長が使用されます。

最適な波長の選択

材料によって最適な波長は異なります。例えば、歯科医で使用する詰め物の硬化には480nm付近のLEDが使用されます。工業向けや建築業界、自動車業界、インク業界などでは、これまで高圧水銀ランプやメタルハライドランプが使用されてきました。しかし、2027年2月24日以降は、環境への配慮から高圧水銀ランプの使用が規制されるため、LEDへの切り替えが進んでいます。

波長を選ぶ際には、反応速度だけでなく、硬化後の物性も考慮することが重要です。硬化後の強度や耐久性、耐候性などが変わってきます。

最適な波長を選択し、硬化不良や物性変化などの問題を避けるためにも、各メーカー推奨のLED照射機をご使用になることをお勧めします。

まとめ

UV-LED照射機を選ぶ際には、照射方式、光の均一性と強度、波長などを考慮する必要があります。硬化させる対象物や用途に合わせて、最適な照射機を選びましょう。

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